「教育関係者・保健医療担当者を対象としたシンポジウム」特設ページ

令和6年1月25日(木)、「第15回(2023年度)教育関係者・保健医療担当者を対象としたシンポジウム」を開催しました。
当日、受講された方々からいただいたご質問に対する講師からのご回答を掲載します。

なお、この特設ページは、令和6年3月31日(日)まで公開いたします。

講師

今橋 真弓 先生(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター感染・免疫研究部)

演題「HIV診療医が『セクシャルヘルス』を考えてみた。~HIV知識のアップデート~」
当日の講義資料はこちらからダウンロードできます。

金子 典代 先生(名古屋市立大学看護学部)

演題「HIV/エイズの現状について」

質疑応答

※一部の質問文について、内容を分割及び要約しています。

Q. 学校では鼻血が廊下に垂れたりするのですが、HIVの感染に関わらず、普段血液がついた場所の消毒は必要でしょうか?

A. 廊下に垂れた鼻血など環境下の血液から感染症が伝播する可能性は非常に低いですが、適切な消毒をすることは必要と考えます。公益財団法人 日本学校保健会作成の学校保健のマニュアル(2018年発行)の記載(p.10)が参考になります。(今橋先生)

【学校において予防すべき感染症の解説〈平成30(2018)年3月発行〉】
※公益財団法人 日本学校保健会 学校保健ポータルサイトより

Q. LGBTQの生徒の相談にのっていましたが、LGBTQ特有の性行為のリスクを教えるタイミングがないまま卒業しました。その子の将来を考えると、リスクを減らせる方法に辿り着けるような教材など紹介すべきだったのか考えてしまいます。誤情報も溢れているので必要な時に必要な情報を得られると良いのですが・・・。

A. LGBTQについて相談に乗ってくれる大人が身近にいたことは、その卒業された生徒さんにとっては大きな助けになっていたことと思います。行政が出している出版物やHPを有効に利用いただくのもいいかと思いますし、ぜひ当院にも医学的な見地から何かできることがありましたらご相談いただければと思います。(今橋先生)

なかなかLGBTQの生徒向けのセクシュアルヘルスの資材は少ないのが実情です。しかし少ないですが、資材もあります。保健室にもおけるようなLGBTQの生徒向けの資材や相談、信頼できる情報先一覧の開発にも取り組んでいきたいと思います。(金子先生)

【もっと自分のカラダのことを知ってみよう HIV/エイズやセクシュアルヘルスのこと】
※NPO法人akta企画・作成

Q. HIV新規患者への病状説明・告知・治療導入など臨床現場における一連の進め方、また留意すべき配慮やコツも知りたいです。

A. 詳しく説明するとなると大量な回答になってしまうので簡潔に回答いたします。
初診時未治療の患者さんは来たこともない病院に、HIV感染症で受診することになるので、初診日当日にすべての情報提供をすることはしていません。初診時当日は頭がいっぱいになって、ほとんど説明されたことを覚えていないと患者さんから後日言われることがありました。よってそれぞれの適切なタイミング(初診・身障申請・治療開始など)で各職種ごとに説明が行われるようにしています。説明の際にはパンフレットなどを使用して行っています。
留意すべき配慮はプライバシー保護かと思います。(今橋先生)

Q. iTesting@Nagoya で陽性者が出た場合、医療機関受診に繋がらない事例はありませんでしたか?陽性となった場合のフォロー体制を詳しく知りたいです。

A. 医療機関につながらない事例は過去にありました。陽性未確認率は0%ですので、陽性と判定された方々は結果確認はされていると思われます。
陽性になった場合の対応としては、陽性結果告知画面から医療機関宛の紹介状が印刷できるようになっています。また電話オペレーターによる受診サポートも行っています。相談いただいた陽性者の方々については当院受診までつながっています。(今橋先生)

Q. HIV検査を身近なものとするためには、特に若い方に対して、どのような場所、時間帯が良いか、ご意見をお聞かせください。

A. コーヒーを買うように気軽に検査ができればと考えています。若い方に対しては、就労との兼ね合いから土日で繁華街で検査ができればと個人的には考えています。(今橋先生)

場所としては、やはり駅に近いところなど利便性が良いところが好まれるようです。仕事帰りに、遊びに行くついでに行きたい方が多いように思います。時間帯は夕方以降、土曜日または日曜日にニーズがあると思います。(金子先生)

Q. 検査のウインドウ期について、私が勤務する保健所では、感染機会から3か月以上経ってからの検査が信頼性が高いというアナウンスをしているのですが、今橋先生のスライドでは最もウインドウ期の長いIC法(確認検査)でも40日ぐらいのように見えました。感染機会からの経過日数がどれだけあれば信頼のできる陰性結果である、とアナウンスするのが適切でしょうか。

A. 検査法の発展に伴い、感染機会からより短い期間で陽性と判定できるようになりました。しかしながら、iTesting@Nagoyaでも受検者さんへのオリエンテーションでは「感染機会から3か月以上の経ってからの受検」をお勧めしています。理由としては、陰性だった場合に感染機会から受検までの日数が短い場合、どうしても「偽陽性」について説明しなくてはならないこと。そして、1度の検査で「白黒つけたい」受検者さんに、再検査をお勧めすることになるからです。ですので、従来通り「感染機会から3か月以上経過してからの受検」をアナウンスする方が適切と考えます。(今橋先生)

Q. 郵送検査は受検者にとって利便性はとても高いと思うのですが、医療機関等で採血して実施するスクリーニング検査と比較して、郵送検査の信頼性はどうなのでしょうか。

A. 郵送検査の信頼性についてはブラインド調査結果の報告が厚生労働省の研究班の報告書にあります。(報告書49ページの図4を参照)

【HIV郵送検査の実態調査と検査精度調査(2018)】
※厚生労働科学研究成果データベースより

郵送検査の信頼性は検査法も影響されますが、受検者の採血技法にも影響されます。より正確に信頼性の高い結果を得るためには、検査キットの指示に従い、慎重に手順を守ることが重要と考えます。(今橋先生)

参考資料およびリンク

中学生向けエイズリーフレット(名古屋市感染症対策室 作成)

中学3年生向けに名古屋市が作成した資料です。授業の補助資料、啓発資材としてお役立てください。
毎年3月頃に名古屋市内および愛知県内の中学校に配布しています。
追加で送付を希望される場合は、下記へお問い合わせください。

名古屋市感染症対策室
TEL:052-972-2631  メール:a2631@kenkofukushi.city.nagoya.lg.jp

教職員のための指導の手引~UPDATE!エイズ・性感染症~(公益財団法人 日本学校保健会)

学校において、児童生徒の保健体育に携わる教職員に向けて作成された手引きです。学習指導要領の趣旨を踏まえ、HIV/エイズ及び性感染症の指導について解説しています。

https://www.gakkohoken.jp/books/archives/206

API-NET(公益財団法人 エイズ予防財団)

公益財団法人エイズ予防財団公式ウェブサイト。HIV/エイズの基礎知識、名古屋市を含めた全国のHIV検査機関の検索、電話相談窓口等が掲載されています。

https://api-net.jfap.or.jp/index.html