梅毒の基礎知識

梅毒とは

 梅毒は、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、病名は症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。感染したあと、経過した期間によって、症状が異なります。

第1期(感染後約3週間)

 感染がおきた部位(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)におけるしこり、股の付け根の部分のリンパ節の腫れがあらわれます。痛みがないことも多く、治療をしなくても症状は自然に軽快します。しかし、体内から病原体がいなくなったわけではなく、他の人にうつす可能性があります。

第2期(感染後約3か月)

 手のひら、足の裏、体全体に赤い発疹があらわれます。特に治療をしなくても数週間以内に消えることが多いです。しかし、抗菌薬で治療しない限り、病原体は体内に残っており、決して治ったわけではありません。

晩期顕性梅毒(感染後数年)

 皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)等ができます。

先天梅毒

 妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります。

感染経路

 主な感染経路は、感染部位と粘膜や皮膚の直接の接触です。具体的には、性器と性器、性器と肛門、性器と口の接触などで感染します。

予防

 感染部位と粘膜や皮膚が直接接触をしないように、コンドームを使用することが勧められます。ただし、コンドームが覆わない部分の皮膚などでも感染がおこる可能性があるため、皮膚や粘膜に異常があった場合は性的な接触を控え、早めに泌尿器科、産婦人科などの医療機関を受診して相談しましょう。また、症状がない場合でも、感染が心配なときは検査を受けましょう。

梅毒にご注意!

 名古屋市における令和3年の梅毒患者報告件数は228件(速報値)で、令和2年から60件増加しました。男性は20歳代~60歳代以上の幅広い年代で報告されていますが、女性は20代や30代を中心とする若い世代の割合が多いです。

名古屋市における梅毒患者報告数の年次推移

男女別 梅毒患者の年代内訳(令和3年)

リンク

厚生労働省

梅毒に関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/syphilis_qa.html

国立感染症研究所

梅毒とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/465-syphilis-info.html